函館ラ・サール中学校・高等学校 数学科 教諭
2023年タイボランティア
2024年フィリピンボランティア
2025年タイボランティア
に参加
つながりの先へ ―― 教育と支援の限界を越えるために
タイで出会った「ラ・サールの精神」
私はこれまで、タイおよびフィリピンでのボランティア活動に継続して参加してきました。
その経験を通して、常に自分に問い続けてきたのは、「自分に何ができるのか」という問いです。
タイでのボランティアは、私にとって大きな原点となる経験でした。
ブラザーや子どもたちと共に過ごす中で、それまで言葉としてしか理解していなかった「ラ・サールの精神」を、初めて実感として受け取ったように思います。
貧困や国籍の問題を抱える地域で、すべてを子どもたちのために捧げて生きる人たちがいました。
その姿に触れ、300年前のラ・サールの想いは、今も確かに生き続けているのだと感じました。
言葉や宗教、立場が違っても、「失われた者、最後の者、もっとも小さな者」に寄り添おうとする姿勢は変わらない。
名札づくりや日々の活動を通して、言語が通じなくても「私」と「あなた」としてつながることができるという体験は、教師としての私の価値観を大きく揺さぶりました。
フィリピンで見た生徒たちの変化
フィリピンでのボランティアでは、生徒たちと共に現地の学校や地域を訪れ、ホームステイや分かち合いの時間を重ねました。
最初は分かち合いの時間を「面倒」「苦手」と感じていた生徒たちが、日を追うごとに自分の内面と向き合い、変化について語るようになっていく姿は、今も強く心に残っています。
人は、環境や立場を越えて、対話と関係性の中でこれほど成長できるのだと、教師として改めて学ばされました。
現地で感じた「支援の限界」
一方で、活動を重ねる中で、私は強い葛藤も抱くようになりました。
それは、ボランティアによる支援が、どうしても「今ここにいる子どもたち」に限られてしまうという現実です。
高校卒業後、その先の進路を思うように描けず、夢を諦めていく若者たちの存在を知りました。
学び続けたいという意志があっても、それを阻む最大の壁が「お金」であるという現状は、あまりにも重く、厳しいものでした。
その現実を知ったとき、私は正直、悲しくなりました。
同時に、「このままでいいのだろうか」と自分自身に問い直すようになりました。
なぜNPO法人を立ち上げたのか
「一時的な関わり」だけでは足りない。
もっと長く、もっと広く、子どもたちの人生に寄り添うことはできないのか。
そう考え続けた末に、私はNPO法人を初期メンバーとして立ち上げ、活動に参加する決断をしました。
NPOという形を選んだのは、支援を特定の個人や団体の善意に閉じたくなかったからです。
現地の現状をより多くの人に知ってもらい、それぞれの立場から力を貸してもらえる仕組みをつくりたい。
もっと広く、持続的に、教育と生活の両面から支える必要があると感じました。
教育と支援は、つながっている
私はラ・サールの卒業生でもなく、カトリックの信者でもありません。
それでも、タイやフィリピンで出会った人たちとの関係を通して、人は心の深い部分でつながっているのだと感じるようになりました。
ボランティアとは、「助ける側」と「助けられる側」に分かれるものではありません。
出会い、学び合い、共に変わり続ける関係そのものだと思っています。
NPOでの活動もまた、その延長線上にあります。
このつながりを、教育の現場で、そして社会の中で、これからも広げていきたいと考えています。
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